サイアノタイププリントのネガについて

今日から日本針穴写真協会の会員展が
東京の江東区文化センター展示室で始まりました。
明日は10:00から20:00まで開いてます。
私は会場にいませんが、足を運んでくれると嬉しいです。
ちなみに、水曜日は私は会場にいる予定です。


今日の写真は全部 iPhoneで撮っています。
針穴写真じゃないです。

サイアノタイププリントという手法があります。
このブログでも何回か書いてきてるし、
ググっていただくと、結構いろんな情報が得られます。
まー、要するに、感光紙を自分で作って日光で焼き付ける、
日光写真と同じです。
感光紙の作り方はググってもらうとして、
今日は、ネガの作り方について。

モノクロのネガフィルムを感光紙に置いて、太陽光に晒す
が、基本です。
でも、これだと、ネガのサイズでしか作れない。
フィルムの原版を太陽光に晒し続けるのが不安。
感光紙を作る薬剤にフィルムが触れてて大丈夫か、不安。
という不安と不満があるのです。

で、一度PCにスキャナーなどでデータで取り込みます。
好きなサイズにして、プリンターでネガシートを作ります。
これなら、不満と不安の両方が解消されます。
ネガシートは、簡単なのだと、OHPシートを使うといいですね。
それから、ピクトリコのネガシートもいいですね。
OHPシートの方は、安いです。
でもOHPシートはいつまで存在するかわからないよね。

ところが、ここでまた問題が。
私のプリンターは、OHPシートもピクトリコのネガシートも
プリントできないんですよ!
これらシートは、プリンターに制約が出てきてしまう。

と、いうわけで、蜜蝋ネガに行き着きました。

【準備するもの】
普通のコピー用紙にプリントしたネガ(300dpiくらいでOK)
固形の蜜蝋(Bee Waxとかビーワックスとかの表記もあり)
ホットプレート
キッチンペーパー(100円ショップので十分)
鍋つかみ

【手順】
ホットプレートを180度くらいに温める
キッチンペーパーを広げる
ネガをプリントしたコピー用紙の表面を下側にして置く
蜜蝋をするすると伸ばす
(あっという間に伸びます。重ね塗りはしない、なるべく薄く均一に)
剥がして1時間くらい乾かせたら完成

手順は、動画も見てね。
火傷には注意。






ホットプレートから剥がした時はこんな感じ。
透過性があります。
乾くとパリッとした丈夫なネガになります。


サイアノタイププリントのネガについて_c0016712_13215817.jpg


で、今回は小さいものを量産しました。
コピー用紙なので、惜しみなく作れますね。


サイアノタイププリントのネガについて_c0016712_13220042.jpg


お手製の紫外線露光機で露光させます。
もちろん、太陽光でもOKですが、
夏場は紫外線よりも気温が高いので、サイアノタイプするには
ちょっと不向き。
太陽光でやるなら、春から初夏にかけてと、
晩夏から秋がおすすめです。
なぜなら、気温が高いので、熱でネガが反ってしまうのです。
そうすると、微妙にネガと紙の間に隙間ができて
きちんと密着し続けられないのです。

紫外線露光機が作れないって人は、
顔用の日焼けマシーンでもOKです。
パワーがあるので、短時間で露光できます。


サイアノタイププリントのネガについて_c0016712_13220241.jpg

露光時間が終わって取り出すと
こんな汚い色になってます。


サイアノタイププリントのネガについて_c0016712_13220497.jpg

で、水に晒すと、青くなります。
水に晒すだけでもいいのですが、
水の前に、最初に酢酸(モノクロ現像用のを使ってます)を
少し薄めたものでゆすいで、
さらにオキシドールをぶっかけてから水洗すると
乾燥後に微妙に色が変化していくのを防げます。
酢酸とオキシドールなしだと、乾燥後に少しだけ色が変化します。
でもある一定のところで止まるので、問題はないですけどね。


サイアノタイププリントのネガについて_c0016712_13220670.jpg


サイアノタイププリントも、面白いです。
同じ配合の液を使っても、紙が違うと青の色の濃さと質が変わります。
だから、どの配合で、どの紙を使うかも、実験と好みですね。

私は、露光時間を少なめにして、白っぽいサイアノタイププリントを作って
それをトーニングするのも大好きです。
トーニングとはお茶などに漬け込むことなんですが、
私は伊藤園のジャスミンティーのティーバッグを
煮出したものに漬け込むのが好きです。


現在開催中の、日本針穴写真協会の会員展には
サイアノタイププリントを私は出展してませんが、
10月末に行うグループ展には出展する予定です。
また近くなりましたら、告知しますので
興味があったら見に来てくださいね。


Commented by kahoko at 2020-09-24 22:20 x
初めまして。サイアノタイプに挑戦中の美大生です。質問なのですが、蜜蝋以外のワックスでもネガを作ることはできますか?
Commented by hariana_no_kokoro at 2020-09-28 00:02
> kahokoさん
コメントありがとうございます。
蜜蝋以外で作ったことがないので、それ以外のワックスでネガができるかは、ちょっと分かりません。ごめんなさい。
Commented by kahoko at 2020-09-29 17:52 x
ご返答ありがとうございます。了解致しました。蜜蝋を購入したので、早速挑戦してみようと思います。
Commented by hariana_no_kokoro at 2020-09-29 19:35
> kahokoさん
ぜひ、やってみてください。
100円ショップのキッチンペーパーでもいいけど、本当はリードクッキングペーパーの方が使いやすいです。ちょっと高いけど。
あと、蜜蝋を塗ったあとにサッとキッチンペーパーで拭うと塗りムラと厚みのムラが減ります。

サイアノタイププリントも本当に楽しいですし、奥が深いです。
同じ感光剤を使って、いろんな種類の紙に塗ると違いがよくわかります。
素敵な作品ができることを祈ってます。
Commented by 淳ちゃん at 2022-06-29 00:32 x
はじめまして

教えてください。
コピーは、インクジェットプリンタータイプでも大丈夫でしょうか?

Commented by hariana_no_kokoro at 2022-07-01 00:43
> 淳ちゃんさん
コメントありがとうございます。
インクジェットプリンターで大丈夫ですよ。
私もいつもインクジェットプリンターで作ってます。
Commented by film photography at 2022-12-10 15:10 x
サイアノタイプについての記事拝見しました。

OHPフィルムを使って(デジタルネガ)コンタクトプリントするのが通常ですが、私は昔ながらのアナログネガ&引き伸ばし機(UV=ブラックライト光源)で実践しております。また、そのアナログネガも最近は3Dプリンタ用のLCDに代替できることがわかり(バーチャルネガ)、アナログな引き伸ばし機とのまさにハイブリッドな組み合わせでサイアノタイプ’(およびヴァンダイク)を作成しております。

宜ければ当方ブログ記事をご参照願います。
Commented by hariana_no_kokoro at 2022-12-29 00:34
> film photographyさん
コメントありがとうございます。
ブログ、拝見しました。
すごい綺麗な描写ですね。あと、iPhoneの画面を使ってピント合わせているのもなるほど、と思いました。
私もUVランプと引き伸ばし機を組み合わせ、ネガから通常の引き伸ばしのようにサイアノタイプ をプリントしたこともありますが、(その機材を持ってる人にお借りしての作業)その時は特殊なメガネをかけて作業しました。
アナログの良さとデジタルの良さ、どちらも使って行くのがいいですね。
by hariana_no_kokoro | 2018-08-20 20:20 | サイアノプリント | Trackback | Comments(8)

針穴写真(ピンホール写真)を綴ります


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