会員展の作品について解説します

遅くなりましたが、日本針穴写真協会の会員展、無事に終わりました。
今年も、トラブルなく終えることができホッとしています。
会場の様子などは、以下のリンクをどうぞ。


今日は、私の作品を解説します。
写真は全部 iPhone で撮影しています。

まず、この横長の作品。
タイトルは『余韻』です。

デジタルのミラーレス機で撮影しています。
壁も床も天井も真っ黒なスタジオで、ライティングしています。
ISOを800に設定。それぞれシャッタースピードは2秒です。
右2枚は、モデルは私自身です。
左の男性は知人です。
それぞれ浮かせるようにセッティングしていて、
真ん中のだけを少し低めにしています。

動きを切り取るのではなく、動きの動きそのものを全部を
写真の中に収めたかったのです。
動いている時の、音、動く空気、衣擦れの音、揺れる光、呼吸とか
そういうものも、その時に考えていることも、
全部ひっくるめて収めたかったのです。

それで、セッティングにも流れとリズムを感じてもらえるよう
真ん中の写真だけ低くするということをしています。
で、タイトルは、いろんなことの余白や感じてもらったことなどを
そのまま抱えてもらえるように『余韻』としました。



c0016712_22463950.jpg


これは、ほるちゃん69ver.で撮ってます。
今年1月に行ったサンディエゴのオールドタウンです。
手焼きなのですが、今回は自分でやったのではなく、
写真弘社の手焼きプリントです。
たまたま、写真弘社のプリントマンさんと個人的に知り合いになったこともあり
プロに焼いてもらうとどうなのかなーという興味と、
自分で焼くにはコントラストが強すぎて難しいな〜と思ったからです。
焼きあがってみたら、もうね、さすがのプロの仕事だなぁと。
当分、自分で焼いたのなんか、見せられんって気持ちになりました。

シンプルな額装に見えますが、
額のシルバー、マットの黒、画面の周囲に残した白、画面の中の影のライン
それぞれを交互に置くことで、真ん中への視線の誘導を考えています。
加えて、マットをキャンバスというか布目があるものにしてあるので
像との相性が良くなっています。

この写真は、何気ない広角の写真ですが、
実はすごくピンホール写真の特徴が出ています。
周辺光量落ちと真ん中が明るい特徴、
一番手前の床の質感と一番奥の柵まで同じピントで写る特徴。
地味な作品ですが、かなりのお気に入りです。
タイトルは、『夏の陽』としました。



c0016712_22464272.jpg

最後は、組写真。
全て印画紙で撮影しています。
一番最初に説明したデジタルのを撮ったのと同じスタジオです。
両端の2枚は、キャビネサイズの印画紙をヒルズ缶ピンクで、
中の4枚は、六切り(8x10)の印画紙を黒いプラスチックダンボールで作った
箱カメラで、それぞれネガを撮り、
コンタクトプリント(密着反転)させてます。

カメラと試写はこれ。


露光時間は、1ポーズ6分。
一枚の中に二人いるのは、1ポーズ6分してから
ポーズを変えて再び6分という二重露光をしています。
たかが6分、されど6分で、モデルをしてくれた友人知人は、
本当に大変だったと思う。
ありがとう。

額縁はシンプルな黒、マットもシンプルな白。
キャビネで撮ったものもはコンタクトプリントのまま額装。
宇宙空間に浮いているような不思議な浮遊感を出したかったからです。

中の六切り(8x10)は、コンタクトプリントをスキャンして
OHPシートにプリント。
それをコンタクトプリントの上に重ねているのですが
重ねる時にほんの少しだけずらして重ねています。
印画紙の上にOHPシートを重ねて額装しているのです。
なので、人物の輪郭にソラリゼーションのような、ダブっているような
そういう滲みが出ています。

この組写真は、揺らぎがテーマです。
長い露光時間中の体のブレ、揺らぎと一緒に
心や気持ち、そういうのの揺らぎ、心理の揺らぎ、葛藤などを
表現したくて、タイトルは『たゆたう』にしました。
この言葉には心情的な部分も内包しているので、
好きな日本語です。

で、その揺らぎやなんかの表現のために、
印画紙だけでなくOHPシートを重ねるということを
思いつきました。
パッと見ているだけでは、
長時間露光中で体が動いているからなのかな、という感じなのです。
でも何かちょっと立体的に見えるというか、そんな感じです。
このOHPシートを重ねているかいないかでは、大違いなんです。

今回は、いつもみたいに派手な額装や
わかりやすい凝った感はないのですが
実は地味に凝ったことをやっています。




c0016712_22464423.jpg


「なんでこんなこと思いつくんですか?」と聞かれますが
本当にね、常に何かこんなことばっかり考えているんです。
だから、ふとした拍子に閃めく、そんな感じです。

今回、カラーの風景写真は出しませんでした。
新しいことに挑戦というよりも、ずっとずっとずーーーっとやりたかった
温めていた構想をようやく形にできた、という感じです。
いろんな条件が全て揃って、そこに自分のこれまでの経験値と
技術と、想像力と、計算と、
それらすべてのことが、今年初めて揃ったのです。
だから、ようやく形にできた、という感覚なのです。
いろんな人の協力があり成り立ちました。
その協力をしてくれる人との出会いと関係性を構築できてたのも
大きいですね。
一人じゃ絶対にできなかったことなので、感謝しています。

ここまで読んで、見たかったな〜と思った方、
もう一度展示します。
10月に四谷で開催するグループ展に参加して、そこに出す予定。
また近くなったら告知しますね。

それから、「フィルムカメラ・ライフ 2018-2019」(玄光社)が
発売になっています。
P136から載っているので、よかったらご覧ください。
ちょっと、印画紙で撮ったものの黒の締まりが悪いのですが、
それはまぁ、印刷だし仕方ないかな。
実際には黒はもっとキュッと濃い締まりのある黒です。
この雑誌読んで、鶏卵紙を作りたくなりましたよ。
自分で鶏卵紙を作って、針穴したら、
究極のアナログっぷりになりますね〜。



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Commented by surgeon24hrs at 2018-09-04 06:19 x
こんにちは。

会員展無事終了、お疲れ様でした。自分だけの展覧会ではなく会員展となると、運営されているしきはんさんは皆さんの面倒も見なくてはいけなくて、さぞかし大変なのでしょうね。

作品の解説、大変に興味深く読ませていただきました。本物を見ることができなかったのが残念です。
表現の方法が写真だけに限らず、額選び、額の中での#Dな配置、そして驚きのOHPシート、どれも素晴らしいアイディアですね!

いつもながら、流石です!
Commented by hariana_no_kokoro at 2018-09-04 08:48
> surgeon24hrsさん
おはようございます。台風の朝です。
コメントありがとうございます。

会員展、今は実行委員長的な立場で動いているので、気を使いますー。まー、いろんなことありますが、今年も無事に終わらせられて良かったです。

写真を撮るのも表現ですが、私は飾る時にはその空間までもが表現だと思ってアイデアを練ってます。
でもねー、そんなことばっかり考えてて、独りよがりにならないよう、気をつけます。
by hariana_no_kokoro | 2018-09-01 22:46 | 個展など展示関係 | Trackback | Comments(2)

針穴写真(ピンホール写真)を綴ります


by しきはん
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